クリニック開業・運営メディア『カイミー 』です。
今回はクリニックを開業される際、設計段階で考えるユニバーサルデザインについてまとめてみました。
よろしければぜひご覧くださいませ。
バリアフリーからユニバーサルデザインへ
バリアフリーという考え方は、大きく広まっているかと思います。
これは障害を持つ方でも使いやすい施設や導線を作ろうという考え方となります。
それに対して、現在ではより多くの方が使いやすいユニバーサルデザインという考え方が重要視されております。
ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザインとは、
文化や言語、国籍や年齢・性別・個々の身体能力や知能などの違いにかかわらず、可能な限り多くの方が利用できることを目指した考え方となります。
ユニバーサルデザインの7原則というのが提示されており、下記のような考え方・概念となります↓
1.どんな人でも公平に使えること。
wikipediaユニバーサルデザインより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3
(Equitable use / 公平な利用)
2.使う上での柔軟性があること。
(Flexibility in use / 利用における柔軟性)
3.使い方が簡単で自明であること。
(Simple and intuitive / 単純で直感的な利用)
4.必要な情報がすぐに分かること。
(Perceptible information / 認知できる情報)
5.簡単なミスが危険につながらないこと。
(Tolerance for error / うっかりミスの許容)
6.身体への過度な負担を必要としないこと。
(Low physical effort / 少ない身体的な努力)
7.利用のための十分な大きさと空間が確保されていること。
(Size and space for approach and use / 接近や利用のためのサイズと空間)
多くの商業施設で進むユニバーサルデザイン
例えば、商業施設のトイレでは、
お子様用のベビーベッドやおむつなどを替えやすい多目的トイレが増えております。
また、自動販売機もお子様や車椅子の方でも購入しやすいように、コインの投入口やジュースの購入ボタンが下側へプラスで設置された販売機もよく目にするようになってきました。
障害を持った方はもちろん、幅広い世代や様々な方に使いやすい導線やデザインへとバリアフリーからユニバーサルデザインへ多くの主要な商業施設は進んでいることが実感できます。
クリニック開業で考えるべきユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインは商業施設だけではなく、病院やクリニックなど多くの医療施設でも取り入れられております。
その中でクリニックを開業される際に、取り入れやすい主なユニバーサルデザインをご紹介させていただきます。
視認性の良い大きなディスプレイでの案内表示
診察を受ける際、クリニックによってはお名前で呼ばれるケースもございます。
ただ、その場合は他の方からしますと、
『あと何人で自分の番になるのか・・』
といったことがわからず不満となってしまうケースも多いかと思います。
また、患者様の中には聴覚が弱い方もいるかもしれません。
その為、現在多くのクリニック・病院では番号制を取り入れ、その番号が誰でもわかりやすいような大きなディスプレイへ表示をするようなシステムが取り入れられるようになってきました。
また、そこまで待つ方がいないクリニックであったとしまして、名前を呼ばれること(個人情報)自体に嫌悪感を感じる方は増えており、そうした意味でもこうしたシステムの導入は必要となります。
待ち時間対策を考えた診療予約システム
クリニックや病院といえば、
『かなり待たされる・・』
といったイメージを持った方もきっと多いかと思います。
例えば、仕事を一時的に抜けて診察に来て延々待たされるというのは、多くの方にご活用をいただきやすくするといったユニバーサルデザインに反した形となってしまいます。
その為、最近ではクリニックでもLINEによる診療予約システムの導入など、待ち時間対策に力を入れたクリニックは非常に増えております。
クリニックでの待ち時間対策ができれば、待たされることにより起きてしまうクレーム等もなくなり、ひいては受付スタッフ様にとっても心理的なストレスがなくなりますのでクリニック開業の際には、ぜひ取り入れたいシステムの一つとなります。
オンライン診療の導入
そもそも、
『忙しくてクリニックへ行けない・・』
『体が不自由でクリニックへ行くことが大変・・』
などクリニックへ行くこと自体が難しい方も大勢いらっしゃいます。
そうした方にも診察を受けていただきやすいような、オンライン診療サービスを導入するクリニック様も増加しております。
特にコロナ禍の中で、zoomによる会議やテレワークなどが当たり前となり、またzoom飲み会という言葉も生まれたぐらいオンラインでのやり取りに抵抗がない方も増えておりますので、オンラインでの診療サービスも幅広い方がご活用されております。
また、こうしたオンラインでの診察サービスは、そのシステムの導入に多額な費用がかかる点がネックではありましたが、LINEが始めた『LINEドクター』など、導入コストがグッと抑えられたサービスも増えており、クリニック開業時から導入もしやすい環境となっております。
わかりやすいピクトグラムの活用
クトグラムとは、トイレの男性用トイレ・女性用トイレにそれぞれ貼られている人物モチーフの視覚記号を指します。
非常口の走るイメージの人物もピクトグラムと呼ばれる視覚記号となります。
こうしたピクトグラムも中にはわかりづらいものが度々見ることがあります。
例えば、そのトイレへ貼られるピクトグラムも様々あり、中にはぱっと見でどちらが男性用か女性用かわからないケースもございます。
特にオシャレな内装へしようとした場合に、そうしたピクトグラムも改悪して使用されるケースが多く、クリニック開業の際には本来のピクトグラムの意味である
『誰でも一眼でわかる視覚記号』
から外れないようにする点を気をつけて活用することが必要となります。
音を組み合わせたクリニック内の案内導線
聴覚が弱い方にはディスプレイでの大きな数字でのご案内、そして、視覚が弱い方には『音』を組み合わせた導線案内が推奨されております。
例えば、商業施設のトイレでは
『ここがお手洗いです』
といったアナウンスや、
男性用のトイレには男性用トイレのメロディを流し、女性用には女性用メロディと曲でわかるような導線作りもされております。
クリニックの場合であれば、
『初診の方は保険証をご用意してお待ちください』
などのアナウンスをボタンで呼び出せるようなシステムもあり、そうした音声システムを活用すればスタッフ様は機械ではできないコミュニケーションを図ることに集中できるなどのメリットが生まれます。
クリニック内の内装も居心地の良さへ変化
クリニックの内装といいますと、
白一色の壁紙などが主流となります。
そうした内装の点もユニバーサルデザインを取り入れ、
『居心地の良い空間作り』
が行われております。
例えば、壁紙も3Mのダイノックシートやサンゲツのリアテックというシリーズでは、非常に高級感のある木目調のシートが多くあり、そうしたシートを利用した温かみを感じる内装にするクリニックも増えております。
小児科クリニックも、現在はお子様向けのキャラクターやイラストなどが散りばめられた壁紙が非常に多くありますので、そうしたものを取り入れ、お子様も怖がらずに楽しめるような空間作りをクリニック内でできるよう進められております。
クリニック内の床材の選択
内装で重要な点は床材も挙げられます。
ご高齢の方が多いクリニックであれば歩きやすい柔軟性のある床材を使用したり、滑りづらい加工がされたシートが貼られた床材を使用するなどの方法があります。
また、階段や診察室・待合室など各エリア毎に床材の色を変えることもユニバーサルデザインの考え方を取り入れた内装作りとなっております。
駐車場からクリニックへの導線
例えばお子様が多くご来院されるクリニックの場合は、車のドアを開けやすいよう車同士のスペースをできる限り多くとるなどが挙げられます。
また、バリアフリーでもあります車椅子でご来院された際に、車を駐車してからクリニックへ入るまでの導線で無理がないかといった点も重要な視点となります。
そして、診療時間や休館日・診療科目などもすぐにわかるような大きな文字を使用した看板などもユニバーサルデザインの考え方として重要なポイントとなります。
まとめ
今回はクリニックを開業される際、設計段階で考えるユニバーサルデザインについてまとめてみました。
なかなか大きな商業施設のように、スペースをゆったりと使用した考慮はできない点も多いと思いますが、
・聴覚が弱い方
・視覚が弱い方
・足が不自由な方
・日本語が苦手な外国の方
・お子様やお子様連れの方
・時間があまり取れない方
など幅広い方がクリニックはご来院されますので、そうした方がご来院された際に一目でわかる導線や居心地の良い空間作りなどはクリニック設計でとても重要なポイントとなるかと思います。
また、クリニック内の導線や内装等に限らず、ユニバーサルデザインはサービスや情報も受けやすいという点も含まれておりますので、オンライン診療やクリニックでの待ち時間の対策等もクリニック開業時には有効的なシステムの導入を検討する必要がございます。
カイミーではこうしたクリニック開業や運営に関わる様々な情報を日々更新しております。
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