クリニックを開業後、運営に関わる様々な頭を悩ます問題もございます。
そうした問題の一つにあげられるのが、
『モンスターペイシェントの問題』
となります。
学校や店舗・クリニックと様々な業種で社会問題となっておりますモンスター客。
今回はクリニックにモンスターペイシェント問題が発生した場合の対策法をまとめてみました。
宜しければぜひご覧くださいませ。
モンスターペイシェントとは?
モンスターペイシェントという言葉は、
まだ耳にされたことがないかもしません。
ただ、モンスターペアレントという言葉は聞かれた方も多いかと思います。
これは学校の業務に支障を生じさせる、
過度な要求をする保護者を指す言葉となります。
このようにモンスター客をモンスター〇〇といった形で、それぞれの業種で表現されております。
モンスターペイシェントの場合は、
クリニックの診療方針、先生や看護師さんの言動、会計などへ執拗にクレームをつけ、クリニック運営に支障を与える患者さんを指す言葉となります。
モンスターペイシェントの特徴
モンスターペイシェントの特徴としては主に下記が挙げられます。
- 無理難題を要求をしてくる
- 医師や看護師へ過度なクレームをつける
- 診察等へ対し暴言や暴力行為、迷惑行為を繰り返す
- クリニックの備品や設備、医療器具を破壊する
- 脅しや恫喝など脅迫行為をする
こうしたモンスターペイシェントの対応をする医師はもちろん、看護師や事務スタッフなど非常に大きなストレスとなります。
クリニックの出禁等は難しい?『医師の応召義務』
上記のようなモンスターペイシェントは、
『クリニックの出禁や追い出す等をすれば良いのでは?』
といった意見も多く出るかと思います。
ただ、クリニックの場合は、
『医師の応召義務』
という医師法があり、
この法により出禁等の対応が取りづらい背景があります。
医師の応召義務とは?
医師法(昭和23年法律第201号)(抄)
引用:医師法(昭和23年法律第201号)
第19条 診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
この医師の応召義務に定義されております『正当な事由』については、
『それぞれの具体的な場合において社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべき』
と、昭和24年の厚生省法務局長通知に記載がされており、これにより医師は診療を求められた際には、仮に診療時間外や患者様の要求が理不尽な場合であっても、相応の対応をしなければならないという解釈にもなるとされ、
モンスターペイシェントの対応においても慎重な対応をせざるを得ない状況が続く背景となっております。
モンスターペイシェントへの具体的な対策とは?
ということで、モンスターペイシェントであっても相応の対応をしなければならない背景があり、何かしらの対策をおこなう必要性があるというのが現状となります。
モンスターペイシェントへの対策を考える際、まずは他業種のモンスター客への対策を参考にするのも有効な策となります。
例えば、日々多くの様々なお客様を対応されているデパートの場合、モンスター客への対策は
『しっかりとした対話・コミュニケーションを行う』
とされております。
過度なクレームは大きな問題ではありますが、その原因となる多くのケースでは感情の問題があります。
感情は時に理性を失ってしまう為、その結果、過度な迷惑行為へ繋がってしまいます。
その為、患者様が理不尽・非理論的なことを仰っている場合に、理屈で説明をするのではなく、根底にある怒りの状態をまずは鎮めるための対話を行うことも必要な対応となります。
言葉でしっかりコミュニケーションを図る
例えば、クリニックで多いクレームの一つに待ち時間が長いといったクレームがあります。
こうした際にも、クリニック側からすれば
『他の患者様も同じように待っていただいている』
といった前提での対応をしてしまいますと、
感情のもつれも起こりやすくなってしまいます。
その為、しっかりとコミュニケーションを取るために、看護師や受付を担当するスタッフの方は患者様へ
『お待たせしておりまして申し訳ございません』
とはっきりと言葉でコミュニケーションを取るというのは重要なポイントとなります。
モンスターペイシェントとなる前に、その芽を潰すというのは最も必要な対策となります。
複数人で連携した対応をとる
暴力行為や脅迫行為といった事態も想定される為、安全面において複数人での対応も時には必要かと思います。
ひとりで無理に収めようとしますと、医師や看護師様も一人の人間な為、過度なクレームや要求へ冷静な対応ができない場合もございますので、そうした点も複数人で対応をすることでよからぬ方向へ進むことを防ぐことができます。
謝罪は合理的な範囲内へとどめる
モンスターペイシェントへの対応は、基本的には感情を鎮めることが第一となります。
その為、クリニック側に多少なりとも不手際があった際には、まずは誠心誠意謝罪をすることが必要となります。
ただ、そうした謝罪も不当な要求をしてきた場合には、毅然とした態度で要求を断ることも必要となります。
クリニックの治療費を返還してほしい
損害を受けたので損害賠償の責任を果たしてほしい
などの金銭要求などは、
『賠償の件は弁護士にまかせています。』
といった対応ができるよう、弁護士事務所との連携が取れるよう体制作りをしておくのも必要な対策となります。
まとめ
今回はクリニック運営を悩ます『モンスターペイシェント』について、その対策等をまとめさせていただきました。
理想は患者様を待たせないなどができるに越したことはございませんが、現実には難しい場合も多く、お怒りをかってしまう場合もございます。
『モンスターペイシェント』に限らず、クリニック側の不手際は素直に謝罪をし、過度なクレームへ繋がらないようできる限りのコミュニケーションを図ることが重要となります。
そして、『モンスターペイシェント』となってしまった場合には、複数人でのご対応や金銭要求には弁護士での対応など、クリニック内での『モンスターペイシェント対応マニュアル』を予め用意をし、共有することが重要となります。
カイミーではこうしたクリニック開業後の問題やその対策、またクリニック開業や運営に関する様々な情報を発信しております。
よろしければぜひカイミーの情報発信を定期的にチェックいただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。