クリニック開業をサポートさせていただいた際、
『医師会へ入った方が良いでしょうか?』
といったご質問をいただく機会が多くございます。
今回は開業医が医師会へ入ることのメリット・デメリットをまとめてみました。
クリニックの開業をご検討されているお客様はぜひご覧くださいませ。
医師会とは?
まずはそもそも医師会とはどのような組織なのでしょうか?
簡単にまとめてみました。
医師会は、医師の医療活動の支援や地域医療の推進などを行う民間の学術団体として設立をされました。
医師会には、日本医師会と47の都道府県医師会、そして約890の地区医師会があります。
加入されている医師の人数は174,000人以上と全国で多くの医師が加入をされております。
また、医師会への加入は義務ではなく、必ずしも加入をしなければならない団体ではございません。
その為、下記へご紹介させていただきます医師会へ加入することでのメリットとデメリットを踏まえた上で加入のご判断をする形となります。
開業医が医師会へ加入するメリット
医師会へ加入するメリットは数多くございます。
代表的なメリットをご紹介いたします。
収入源の拡大・クリニックの認知度UP
医師会へ加入をすることで、健康診断や予防接種の一括供給を得る機会が生まれます。
クリニックを開業したエリアの予防接種関連の活動、またエリア内の学校医を受託する機会も生まれ、それらの報酬(年俸数十万円程度)を得ることができる収入源の拡大メリットがあります。
特に小児科クリニックを開業される際には、医師会の委託事業である学校検診の機会を得ることは、学校検診を通じてエリア内の多くのお子様・親御様との接点が生まれ、集患効果としても大きなメリットに繋がります。
小児科クリニック以外でも、
- 高齢者のインフルエンザの予防接種
- 肺炎球菌ワクチンの接種
- 特定健診での胃カメラ検査
- 子宮頸がん検診
とエリア内の高齢者様への認知度アップ、婦人科の患者様への認知度アップと繋がります。
様々な医師会講習会や医療情報を得る機会が増える
医師会へ加入をしている医師の数が174,000人以上と非常に多く、そうした数多くの医師からの医療情報へ触れる機会が増える点も医師会へ加入するメリットとなります。
また医師会は定期的な講習会も開催しており、そうした様々な情報へ触れる機会があることは、特にクリニックを開業しクリニック運営・診療に追われる開業医様にとって医師会加入は大きな情報源を得られるメリットがあります。
そして、最新の医療技術などの情報以外にも、各保健所へ入った食中毒・感染症などの発生情報等も医師会からFAXで情報が流れてきます。
積み立て型私的年金制度などの金銭面メリット
医師会へ加入することでのメリット3つ目は金銭面でのメリットです。
医師会加入者は、低利子・無担保で融資を受けることが可能な制度や、事務手数料が定額の積み立て型私的年金制度に加入できる制度、団体料金で医師会への非加入よりも割安に保険への加入が可能になる制度など、様々な金銭面でのメリットもございます。
医事紛争が起こった際の安心感
医師会へ加入することでのメリット4つ目は、医師会の医師賠償責任保険の制度が挙げられます。
医事紛争が起きてしまった際にサポートされる医師賠償責任保険。
これは医師会以外でも一般の保険会社でも取り扱われている保険となります。
ただ、そうした保険会社での医師賠償責任保険は、患者様との示談交渉や弁護士の専任などを医師個人で行う必要があります。
その点、医師会の医師賠償責任保険へ加入をすると、医師会に顧問弁護士や専門知識をもったスタッフが在籍している為、医師個人での示談交渉等の手間を省くことができ、医事紛争の訴訟の際には保険金が下りる為、もしもの際の金銭面への不安も和らげるメリットがございます。
医師会へ加入することでのデメリット
医師会へ加入することで多くのメリットを得ることが可能です。
…ただ、加入することでデメリットもございます。
主なデメリットをご紹介させていただきます。
医師会加入により高額な年会費の負担
医師会へ加入することのデメリットで最も挙げられる点が、『高額な年会費』となります。
年会費は全国一律ではなく、各エリアによって異なります。
医師会に加入することで得られるメリット・補償内容は同じな為、まずは対象エリアの年会費を知り、メリットと天秤にかける必要がございます。
ちなみにエリア以外にも、開業医と勤務医、研修医それぞれに年会費は下記のように異なります。
日本医師会の年会費
開業医126,000円
勤務医68,000円
研修医15,000円
一例として京都医師会の年会費は
開業医や病院の管理者など(医賠責適用)210,000円
勤務医38,400円
医師養成課程がある大学に在籍する医師8,400円
研修医無料
といった形で開業医の負担は大きく上記以外にもかかる費用が様々あり、負担増は大きなデメリットとなります。
クリニックでの診療以外の業務増
医師会へ加入をすることで、地域の予防検診等の受託を得る機会はメリットでもありますが、そうした通常のクリニックでの診療以外の機会が増えることはデメリットでもあるかと思います。
ざっと下記のような業務が増え、
クリニック開業後の忙しい状況の中での対応は厳しいものがあるケースも多いかと思います。
- 救急病院・診療所の休日当番医
- 夜間診療
- 学校医への対応
- 市民向けの公開講座
- 介護保険の審査
医師会内の仕事を依頼されるケースもあり、また、そうした仕事の会議への出席も求めれることにもなり、多くの時間を医師会加入により費やすケースもあります。
特にクリニック開業時は医師1人耐性が多く、そうした状況で会議等へ参加する場合はクリニックを休診する必要があり、クリニックでの収入が減少してしまうといった本末転倒なケースも生まれてしまいます。
また、業務外の依頼毎には医師会の関連団体である日本医師連盟の政治団体より、選挙時の選挙活動への協力を求められるケースもあり、多くの時間を医師会加入により消費してしまう可能性は大きなデメリットとなるかと思います。
まとめ
今回はクリニック開業時に開業医によるメリット・デメリットをまとめさせていただきました。
クリニックを開業した際は、他の様々な店舗と同じく地域の皆様への認知度アップは大きな課題となります。
そうした点は医師会からの予防検診等、多くの委託事業を受託できる機会が増えることはその場を通じて多くの方にクリニックを知っていただける機会へ繋がるメリットがございます。
また、医師会への加入は保険制度等でもメリットは多く、院長医師やスタッフの健康保険の保険料も医師会の会員であれば非常に安いといった金銭メリットがあります。
ただ、そうしたメリットだけではなく
・高額な年会費
・様々な業務の発生
などのデメリットも多々ある点は注意が必要です。
実際、年々医師会への加入者は減少傾向にあります。
年会費等とメリットをしっかり比較して加入を検討することをおすすめいたします。
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様々な情報発信も随時行っておりますので、ぜひクリニック開業をご検討されている場合は定期的にカイミーを覗いていただけましたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。