クリニック開業の土地探し・建てられない土地に注意

クリニックを開業する際、
下記記事でご紹介させていただきましたように、
土地と建物どちらも自己所有で開業する方法と、土地は借地で開業する方法等、様々な開業の方法がございます。

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その中で土地・建物を自己所有でクリニックを開業する場合には、

『土地探し』

が必要となってきます。

そんな土地探しですが、クリニックを建てられない土地というものも存在します。

今回はそのお話についてまとめてみました。
よろしければぜひご覧くださいませ。

目次

クリニック建設で重要な法規制

クリニック(建物)を建てるためには、

・都市計画法
・建築基準法
・消防法

そして、そのクリニックを建てる地域の各自治体による条例と、様々な法律が関係します。

土地計画法・市街化地区と市街化調整地区

日本国内の土地は都市計画法により、

・市街化地区
・市街化調整地区

この二つに大きく分けることができます。

クリニックを建てられる・建てられないは、その土地がこのどちらに該当するかに関係をします。

市街化地区とは?

まず一つ目の市街化地区について。

こちらは

  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

と用途により13種類に分けることができます。

簡単にまとめますと、市街化地区とは、人が建物を建てて生活をする、事業・商売をする為の区域となります。

そうした生活をする為の区域となりますので、道路や下水道といった生活インフラも優先的に整えられ、公園などの公共施設も多くあるエリアとなります。

クリニックは上記の13種類の地域全てで建てることが可能です。

ただ、1点注意が必要なのが、クリニックと住居を兼用とする場合となります。
その場合は、『工業用地域』にはクリニックを建てることができません。

市街化調整地区とは?

次に市街化調整地区について。

こちらは簡単にまとめてしまいますと、一部例外を除き、クリニック(建物)を建てることができない区域となります。

ただ、この市街化調整地区の周辺へ多くの住民が既に居住をしており、その住民のために公益上必要な建築物であることが認められた場合は、クリニックを建てることが可能とされております。

しかし、その為には定められた細かな基準をクリアし、土地開発の許可・クリニックの建設許可を取得する必要があり、そうしたケースは非常に稀なケースとなっております。

その為、クリニック開業の土地探しにおいて、市街化調整地区でもクリニックなら建てることができるといったセールスがあった場合は、疑ってかかるべき話となります。

建築基準法により建てられるクリニックが決まる

上記のようにクリニックは市街化地区であれば基本的に建てることが可能です。

ただ、市街化地区の土地であっても建築基準法により、建てられるクリニックが制限が定めらております。

建ぺい率と容積率

建ぺい率とは、その敷地の面積に対するクリニック(建物)の建築面積の割合をさします。

そして、容積率とは敷地の面積に対するクリニック(建物)の延べ床面積をさします。

これらは土地それぞれに定められており、それに従ってクリニックを建築する必要がございます。

クリニックの高さ制限

土地にクリニックを建てる際、その建物の高さもそれぞれの土地により制限が設けられております。

日影規制

その土地の用途地域や場所により、クリニックの高さが10mを超える場合に、日影規制という規制により、建てれるクリニックの高さや形状にも制限が設けられております。

クリニックの建設費が高くなるかも『防火地域』

防火地域へ指定されている土地へクリニックを建てる場合、使用する建築材料は燃えにくい仕上げ材を使用し、また建物の構造も燃えにくい構造へする必要がございます。

防火地域へクリニックを建設する場合には、
少なからず建築費がアップするケースが多いかと思います。

地区計画

クリニックと道路までの距離や、屋根・外壁といったものにまで制限が定められております。

不動産会社へ要確認『接道義務』

クリニックの敷地は、道路に2m以上接していなければクリニックを建てることができません。

この部分は目視での確認ではなく、その土地を管理する不動産会社へしっかりと確認をする必要がございます。

法律以外の土地の状態への調査

上記に挙げましたような法的な部分の土地の条件とは別に、その土地の状態もクリニックを建設する上でしっかりと確認をする必要がございます。

土地の状態を知る上で代表的なポイントをご紹介します。

敷地の境界を事前に確認する

隣家とのトラブルは時に起きてしまうものですが、その中でも敷地の境界を巡ったトラブルというのもございます。

『境界確定測量図』という図がある場合は、隣の土地所有者が立ち合いのもとその図が作成されたものとなりますので、敷地の境界がしっかりと確定しています。
そうした場合は安心してクリニックを建設することができます。

ただ、『境界確定測量図』がない場合は、仮に境界として打たれている境界杭やブロック塀などがあったとしても、その境界が隣地の土地所有者の立ち合いのもとで確認がされていない場合もあり、そうした場合にクリニックを建設後に敷地の境界についてトラブルとなる場合もございます。

クリニック建設の為の土地探しの際は、『境界確定測量図』がしっかりあるか、もしくはその土地の売買契約をするまでには『境界確定測量図』を作成してもらうよう注意が必要です。

敷地に接道する道路の所有者の確

敷地に接道する前面の道路が建築基準法上の道路と確認ができた場合でも、その道路が私道の場合、クリニックの患者様が利用する際にトラブルの原因となってしまうケースもございます。

クリニックの敷地に接道する道路であれば、その道路はクリニックと他の接道する土地所有者との共有所有者となるケースが一般的ですが、公道と違い私道の場合はメンテナンスにかかる費用が自己負担となります。

良く患者様が利用するような私道となる場合は、アスファルトの剥がれ・側溝の詰まり等の問題も起きやすく、その際の補修やメンテナンス負担についてはトラブルとなるケースもありますので、事前に負担の仕方等は確認をとっておくことが必要です。

ご高齢対象のクリニック開業に注意・土地の高低差

土地によっては、高低差がある土地というのも多く存在します。

そうした場合、その高低差を解消する為の造成工事を行うか、行わない場合にはクリニックまでに階段を設けるなどの必要が出てきます。

ただでさえクリニックの開業には大きな資金が必要となりますので、土地の造成工事となればさらに大きな費用負担が発生してしまいます。

また、ご高齢の方がご対象のクリニックを開業する場合には、階段の上り下りが必要なクリニックは選ばれずらくもなってしまう為、土地の高低差はは事前にしっかりと確認が必要となります。

必要な太さの水道管等が引かれているか

水道管や下水管が引かれている場合にも、その引かれている配管の太さが細いケースもあり注意が必要です。

そうした配管の交換が必要な場合、その費用は自己負担となります。

そして、地域によっては下水が通っていない地域もあり、その場合は浄化槽が必要となります。
浄化槽の場合は、定期的な業者との管理契約が必要となりますので、クリニックの運営コストとして計算に入れなくてはならなくなります。

クリニックが建てられる地盤かどうかの確認

その土地の地盤により、クリニックが建設できないゆるい地盤もございます。
そうした場合には、地盤改良の為の費用が別途発生します。

地盤の状態を知る為の地盤調査は、
建築工事の設計をする段階で行われるケースが一般的となりますので、クリニックの土地探しの際には、周辺の地盤の状況からある程度判断する必要がございます。

法的・土地の状態以外にもクリニックへ向いているかどうか

上記に挙げましたような様々な法的な確認や、その土地へ建てられるクリニックの面積や地盤の問題など、確認事項は多岐に渡ります。

また、そうしたクリニックが建てられるかどうかという問題と同じく、その土地へクリニックを建てて運営ができるかどうかの問題も土地探しでは重要な問題となります。

商圏として、必要な人口がいるか
患者様が車で来院しやすい道路環境か

など、集患を考えた際に、
前面道路が狭くて駐車場に入りづらいのでは〜
など実際の患者様が通われるシーンを想定しながら土地探しを行う必要がございます。

カイミーではそうしたクリニック開業へ向けた土地探し、物件探しも経験豊富なスタッフにより強力にサポートも行なっております。

ぜひクリニックの開業をご検討される際には、お気軽にご相談をいただきましたら幸いです。

今後もカイミーでは随時クリニック開業・運営に有益な情報の発信も行って参りますので、よろしければぜひ定期的にご覧くださいませ。

よろしくお願いします。

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